芳賀赤十字病院は地域医療支援病院・地域周産期母子医療センター・災害拠点病院・DMAT指定病院・地域がん診療病院・臨床研修指定病院に指定されています。

上表は年齢（10歳毎）に患者数を集計した表になっています。令和4年度に当院から退院された患者数は約7,400名でしたが、令和5年度に当院から退院された患者数は、昨年度より若干増加し、約7,800名でした。年齢階級別では70代以上の高齢者が多く、半数の約50％を占めています。また10歳未満の小児・新生児患者が約15％となっています。県東保健医療圏での急性期病院の中核として、救急及び周産期医療など地域医療に対応しています。

当院では、2泊3日の前立腺針生検が最も多くなっています。また、上部尿路疾患や膀胱腫瘍、前立腺肥大症に対し、経尿道的手術を数多く行っております。この他にも、尿管、精巣の悪性疾患や排尿障害を有する疾患等を診療しております。

当院では、地域周産期母子医療センターとして、積極的に近医からの紹介患者を受入れ、帝王切開術など、胎児異常等のハイリスク症例に対する医療を実施しています。また子宮筋腫や子宮頚部高度異形成疾患に対し、手術治療を実施しています。

脳神経外科では、「脳出血」「硬膜下血腫患者」「パーキンソン病」を受け入れ手術治療を行っています。また外傷性の頭蓋内損傷患者も多く、脳腫瘍患者に対する手術治療も実施しています。

【解説】

上表は、「5大がん（胃がん・大腸がん・乳がん・肺がん・肝がん）」について、の初発患者の病期分類による延べ患者数、再発患者の延べ患者数を示しています。がんの病期分類は、がんの進行・拡がりの程度を意味し、Stage0からStageⅣまでありStageⅣが最も進行していることになります。当院は大腸がんに次いで肺がん、胃がん、肝がんが多くなっています。胃がんについてはStageⅠ（早期胃がん）の症例が最も多い傾向にあり、内視鏡手術による治療を積極的に実施しています。また当院は「地域がん診療病院」に指定されており、手術治療だけではなく、化学療法による治療も多数施行しています。

【解説】

上表は、日本呼吸器学会、成人市中肺炎診療ガイドラインの定義に基づき、肺炎の重症度別に集計しており 市中肺炎の患者さんを対象としています。 （15歳未満の患者・誤嚥性肺炎。インフルエンザ肺炎・ウイルス性肺炎を除く）中等症が最も多くなっており、平均年齢は78歳と高齢者に多く、平均在院日数も約26日と長くなっています。 重症、超重症患者は45名となっており、平均年齢は83歳とこちらも高齢者が多く 平均在院日数も高度な治療を要するため、30日以上と長くなっています。

【解説】

脳梗塞で入院された患者さんのほとんどは、発症日から3日以内に入院治療を受けられています。脳梗塞治療では早期に治療を行うことがその後のADL（日常生活動作）に大きな影響を与えます。当院では急性期医療が終了した患者さんは、リハビリテーションが必要な場合が多く、回復期リハビリテーション病棟に転棟していただき、総合的なリハビリ、在宅復帰に向けた計画を多職種で取組み、治療管理を行っております。 また地域連携診療計画書をもとに医療圏内の医療機関とも連携し、総合的な治療管理を行っています。

当院では前立腺がんに対する、手術支援ロボットによる手術が最も多くなっております。また、膀胱がんや尿路結石に対する経尿道的手術も行っております。

当院では、慢性硬膜下血腫患者に対する「慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術」が最も多くなっています。パーキンソン病患者に対し「脳刺激装置交換術」、くも膜下出血患者に対し「脳動脈瘤頸部クリッピング術」を実施しています。

消化管の悪性新生物の術後、白血病の合併症として血液の凝固異常に異常をきたす播種性血管内凝固症候群を起こす場合があります。また様々な感染症から病原菌が血液内に入り、敗血症になることがあります。手術・術後の合併症は、術後の出血があります。

肺血栓塞栓症のリスクが高い手術をされた患者さんに対しては、弾性ストッキングの着用などの予防対策を実施しています。肺血栓塞栓症のリスクレベルが「中」以上の手術を施行した退院患者数に対して、予防対策の実施率は約98％となっています。

血液培養採取時は皮膚の常在菌が混入する可能性があり、表皮ブドウ球菌などによるコンタミネーションの判別に複数採取が有効です。2セットから同じ菌種が検出されれば原因菌である可能性が高くなりますが、1セットのみ皮膚の常在菌と考えられる細菌が陽性となった場合は汚染菌と判定することが出来ます。また、菌血症の場合でも血液中の菌量は非常に少数であるため、採取量を増やし検出率を高める目的があります。1セット採取で起因菌が検出される感度は73.2％、2セットでは93.9%であり、2セット以上採取することが推奨されています。

広域抗菌薬を使用し続けると耐性菌が増え、治療の選択肢が少なくなります。抗菌薬を適正に使用するためには血液培養を行い、どのような細菌が原因であるかを調べることが重要です。広域抗菌薬を開始する前に、血液培養の提出状況を確認することで、抗菌薬が適正に使用されているかを評価しております。