2015年1月1日から2016年10月31日までに、芳賀赤十字病院小児科に気管支喘息のために受診し、呼気中一酸化窒素濃度検査を受けられたお子様を対象とした研究を行っていることをお知らせします。
1.研究の意義と目的
一酸化窒素(nitric oxide; NO)は、健常人においても呼気中に検出されますが、炎症がありますとサイトカインなどの刺激により、NOの産生が増加し、呼気中のNO濃度が上昇します。NO濃度は気管支喘息における気道炎症の非侵襲的な指標として確立されており、さらに、FeNOは小児喘息例のコントロール状態を反映することや、有症状の軽症例では無症状例と比べ、有意にFeNOが高いことが報告されています。そこで、非侵襲的に末梢気道炎症の評価ができる点と他の呼吸異能検査より低年齢から実施できる点で、FeNOは小児喘息のお子様に大変有用な検査です。
しかしながら、臨床の場では必ずしも小児喘息のコントロール状態とFeNOが相関しないお子様をしばしば経験します。すなわち、幼児の気管支喘息では、喘息のコントロール状態に関わらず、FeNOが常に正常であるお子様がいたり、学童の気管支喘息ではFeNO値が正常で変動が少ないにも関わらず急性増悪を来すお子様がいまして、FeNOを基にした一律的な長期管理方法では期待したコントロール状態を維持できないお子様が見受けられます。そこで、我々は、それぞれのお子様に応じた小児喘息の長期管理方法の確立が必須と考え、当科に気管支喘息で定期通院中のお子様のFeNO値の変動を見直し、どのようなタイプの気管支喘息のお子様がいるのかを検討し、タイプ別の長期管理方法を見出したいと考えています。
2.研究の方法
2015年1月1日から2016年10月31日までに、芳賀赤十字病院小児科に気管支喘息のために受診され、呼気中一酸化窒素濃度を受けられたお子様を対象に、診療の記録(カルテ)から以下の事項を調べます。
お子様の性別、年齢、診断、呼気中一酸化窒素検査、血液生化学所見、呼吸機能検査、治療内容、転帰 |
3.個人情報の保護について
この研究を実施するにあたって、使用する情報は患者さんの診療の記録(カルテ)から得られる情報から住所、名前を削り、患者さん個人が特定できないように符合をつける「匿名化」を行い、鍵のかかるキャビネットに保管致します。また患者さんとこの符号とを結びつける対応表は、研究責任者が鍵のかかる別のキャビネットに保管することにより、患者さん個人の情報を管理します。これを連結可能匿名化といいます。
患者さん個人を特定する情報が公開されることはありません。調査対象となる患者さんお一人お一人へのご説明は致しませんが、ご自分の情報をこの研究に用いられたくないとお考えの場合には下記にご連絡ください。調査対象から省かせていただきます。この場合でも、診療や病院サービスにおいて患者さんへの不利益はございませんので、遠慮なくご連絡ください。なお、連絡が届いた時点で、すでに研究成果が発表されている場合には対象から外すことはできません。ご了解ください。
この研究は2017年6月30日までを予定しており、研究期間終了後は当科の診療実績として管理するために保管させていただきます。
この研究についてご質問などございましたら、下記までお問い合わせください。苦情については、芳賀赤十字病院医療安全委員会(電話:0285-82-2195)で受け付けております。
研究責任者:芳賀赤十字病院 小児科 齋藤 真理
電話 :0285-82-2195 FAX:0285-84-3332